社内にIT担当者がいなくても大丈夫?システム開発を成功させる進め方と準備

「業務をシステム化したいけれど、社内にITに詳しい人がいない」「専門用語が分からず、開発会社と話がかみ合うか不安」――中小企業を中心に、こうしたお悩みは少なくありません。

結論からお伝えすると、社内にIT担当者がいなくても、システム開発は十分に進められます。ただし、そのためにはいくつかの準備とコツがあります。本記事では、IT担当者がいない会社がシステム開発を成功させるための体制づくりと進め方を解説します。

1. IT担当者がいない会社でよくある悩み

まずは、よく耳にするお悩みを整理してみましょう。

  • 何から始めればよいのか分からない
  • 開発会社の説明や見積書の内容が理解できない
  • 提示された金額が妥当なのか判断できない
  • 開発中に何を確認すればよいのか分からない
  • 完成した後、誰が管理するのかが決まっていない

どれも自然な悩みです。そして、これらの多くは「技術の知識」ではなく、「進め方を知っているかどうか」で解決できます。

2. 発注者に必要なのは「技術」より「業務の知識」

システム開発で発注者に求められるのは、プログラミングの知識ではありません。開発会社は技術のプロですが、あなたの会社の業務の流れや、現場で何に困っているかまでは知りません。

発注者に求められる主な役割は、次の3つです。

  • 業務を説明すること:今の仕事の流れと、困っていることを伝える
  • 判断すること:開発会社からの提案や確認事項に対して、自社としての答えを出す
  • 確認すること:できあがったものが業務で使えるかを確かめる

いずれも、業務を一番よく知っている社内の方だからこそできることです。発注者の役割については「システム開発を成功させる「発注者の役割」とは?」でも詳しく解説しています。

3. 社内で用意したい3つの体制

体制 1
社内の窓口担当者

開発会社とのやり取りを一本化する担当者を1人決めます。ITに詳しい必要はありません。大切なのは、業務をよく知っていて、社内の意見をまとめられる人であることです。窓口が複数いると、伝える内容がばらばらになり、認識のずれの原因になります。

体制 2
最終的に判断する決裁者

予算や機能の優先順位を最終的に決める人です。経営者や部門長が担うことが一般的です。窓口担当者が判断に迷ったときにすぐ相談できるよう、節目の打ち合わせには決裁者にも参加してもらいましょう。

体制 3
現場の協力者

実際にシステムを使う現場の方です。要望を聞いたり、試作段階の画面や受入テストで使い勝手を確かめたりする際に協力してもらいます。現場の声を早い段階から取り入れることで、「完成したのに使われない」という事態を防げます。

4. 相談から運用までの5つのステップ

ステップ 1
困りごとと目的を書き出す

最初にやるべきことは、システムの仕様を考えることではなく、「何に困っているのか」「どうなったらうれしいのか」を書き出すことです。「毎月の請求書づくりに丸2日かかっている」「注文の転記ミスが月に何件も起きている」など、具体的な場面と数字があると、開発会社に伝わりやすくなります。

ステップ 2
今の業務の流れを整理する

誰が、いつ、何を使って、どんな作業をしているのかを書き出します。きれいな図にする必要はなく、箇条書きで十分です。今使っているExcelファイルや紙の帳票は、そのまま開発会社に見せられる大切な資料になります。

ステップ 3
要件整理から支援してくれる会社に相談する

IT担当者がいない場合は、いきなり見積もりを依頼するのではなく、要件の整理から一緒に進めてくれる開発会社に相談するのがおすすめです。ステップ1・2でまとめた内容を持って相談すれば、話がスムーズに進みます。相談前の整理については「要件が固まっていなくても大丈夫?システム開発相談で最初に整理すべき5項目」もご覧ください。

ステップ 4
開発中は定期的に確認する

開発が始まったら、定例の打ち合わせで進捗を確認し、確認を頼まれた事項にはなるべく早く回答します。分からない言葉が出てきたら、その場で質問して構いません。分からないまま承認しないことが、後のトラブルを防ぐ一番の近道です。

ステップ 5
リリース後の体制を決めておく

リリース後に「操作が分からない」「動かなくなった」といった問い合わせを誰が受けるのか、開発会社にどこまで保守を任せるのかを、リリース前に決めておきます。IT担当者がいない会社ほど、保守契約の内容が重要になります。

5. 開発会社選びで確認したいポイント

IT担当者がいない会社にとって、開発会社選びは特に重要です。次のような点を確認しましょう。

  • 専門用語を使わずに説明してくれるか:分かる言葉で説明しようとする姿勢があるかどうかは、相性を見極める大切なポイントです。
  • 要件整理から支援してくれるか:「仕様を決めてから来てください」ではなく、一緒に整理してくれる会社が安心です。
  • 提案に理由があるか:なぜその機能や方法が必要なのかを説明してくれるかを確認します。
  • 小さく始める提案をしてくれるか:最初から大規模なシステムを勧めるのではなく、必要な機能から段階的に進める提案があると、失敗のリスクを抑えられます。
  • リリース後の保守体制があるか:困ったときに相談できる窓口と、対応範囲を確認します。

開発会社選びの全体的なポイントは「システム開発会社の選び方|失敗しないための7つのチェックポイント」で解説しています。

6. IT担当者がいない会社のよくある失敗

よくある失敗 起こりやすい問題 対策
「分からないから」と開発会社に任せきりにする 業務に合わないシステムができあがる 業務の説明と判断は社内で担う
窓口担当者が通常業務と兼務で手が回らない 確認が遅れ、スケジュールが延びる プロジェクトに使う時間をあらかじめ確保する
見積金額だけで発注先を決める 後から追加費用が発生する 見積もりの前提条件と対象範囲を確認する
リリース後の管理者を決めていない トラブル時に誰も対応できない 保守の範囲と社内の窓口をリリース前に決める

💡 外部の力を上手に借りる

社内だけで進めるのが不安な場合は、外部の力を借りるのも一つの方法です。たとえば、開発会社に要件定義やプロジェクト管理の支援を依頼したり、開発とは別にIT面の相談役となる専門家を置いたりする方法があります。支援を依頼する場合は、作業時間に対して費用を支払う準委任契約になることが多いため、契約の違いについては「システム開発の「請負契約」と「準委任契約」の違いとは?」もあわせてご覧ください。

7. まとめ

社内にIT担当者がいなくても、システム開発は成功させられます。ポイントを振り返ります。

  • 発注者に必要なのは、技術ではなく業務の知識と判断
  • 窓口担当者・決裁者・現場の協力者の3つの体制をつくる
  • 困りごとと業務の流れを書き出してから相談する
  • 要件整理から支援してくれ、分かる言葉で説明してくれる開発会社を選ぶ
  • リリース後の保守体制まで決めておく

「ITのことは分からない」と感じている方こそ、早めに相談することで、遠回りを減らせます。

K-Bridgeでは、専門用語をできるだけ使わずに、要件の整理から開発、リリース後のサポートまで一貫してお手伝いしています。「何から始めればよいか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。

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